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コント55号 人類の大弱点

「コント55号 世紀の大弱点」(1968)に続くシリーズ2作目で、「日本海大海戦」の併映。

コメディというよりも、人情刑事と口先三寸の詐欺名人との付き合い物語というような、わりと良くあるパターンのドラマになっている。

娯楽作品としては、可もなく不可もなく…といった所か?

ゲスト出演として、クラブで「ブルーライトヨコハマ」を歌ういしだあゆみと、「帰り道は遠かった」を歌うチコとビーグルスが登場。

菅井きん、「ウルトラセブン」の「アンドロイド0指令」や「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」(1970)などで一部マニアには有名な小林夕岐子なども出演している。

コント55号の面白さの原点は、不器用で、コントには素人っぽかった初期の二郎さんを、徹底的に欽ちゃんが突っ込み倒し、二郎さんがその過激な要求におどおどする様にあったのであり、その二郎さんが、急速に「ボケ」として「巧くなり過ぎた」ため、欽ちゃんは新しいツッコミ相手を、お笑い以外の役者や歌手、さらには素人に求めるようになり、実質的に「コント55号」は終焉を迎えるのだが、映画では、そのスピーディーな「ボケ」と「突っ込み」という舞台やテレビ特有の面白さの本質を、巧く表現できず終いだったように思う。

彼ら出演の映画が、「喜劇」としては、あまり成功していないのはそのため。

皮肉なことに、この作品で、不器用ながら誠実な感じの刑事を演じている二郎さんは、その後、テレビでも、同じようなタイプを演ずる役者として活躍するようになって行く。

欽ちゃんの方は、自分の芸が映画には不向きだと直感したのか、その後、テレビの視聴率タレントに成長して行くのは有名だろう。

原作があるためかも知れないが、ひた向きで可憐な娘を好演している 「サインはV」でお馴染みの岡田可愛なども、あまり、劇中で巧く生かされているようには見えず、ちょっと惜しい感じもする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1969年、東宝、町田浩二「詐欺の天才奮戦記」原作、江古武郎+平戸延介脚色、福田純監督作品。

競輪ですっからかんになった大垂欽一(萩本欽一)は、たまたまその時着ていた自分の上着が、某電器店のユニフォームとそっくりなことに気付き、客を騙して、金を奪うことを思い付く。

そこに客として現れたのが、詐欺係りを拝命されたばかりの隅田署の捜査二課刑事、駒形二郎(坂上二郎)。

まんまと駒形から金を奪って逃げ延びた大垂がばったりであったのが、昔付き合い、その後亡くなった男の妹で、今では旭光産業という会社に勤めていた大門幸子(岡田可愛)。

大垂は、その幸子に対しても、同情を誘う嘘をつき金をだまし取るのだが、幸子はそんな大垂に対し、決して悪感情は抱かなかった。

しかし、結局、駒形に捕まった大垂は刑務所に入り、6ケ月で仮出所した後、駒形の推薦で、大門父娘も働いていた旭光産業の社長秘書として働きはじめるのだが、防犯協会の理事なども兼任しているその社長(大辻伺郎)が、裏では、公社の土木課長(田島義文)と組んで、汚職ばかりしている血も涙もない悪党である事実を知る。

幸子はすでに退職し、汚職をたしなめたその父親(桑山正一)さえも首にされたことを知った大垂は、大金を持ったまま会社をトンズラすると、使いに出された時に偶然手に入れた汚職の証拠書類を種に、社長を恐喝しようとするのだが、彼の更正を願う幸子の連絡で駆け付けた駒形によって、又しても逮捕されてしまうのだった。

拘留中の留置署内で、大垂が知り合ったのが、取込み詐欺で捕まっていた畑よし子(白川由美)という美女。

犯罪者とは思えないよし子の優しさに心うたれた大垂は、彼女との結婚生活に新しい人生を夢見るのだが…。